【キスカショートショート】
●月●日 曇り
今日は、朝から、中隊長どのが、「高橋くんの円匙がなくなった。皆正直に言おう」
と言うので、みんなで「生意気なインテリがっ!」とボコボコにしてやりました。
すると、困ったことに、中隊長どのの従卒の山峰くんが逃げ出してしまいました。
みんな「困ったなあ、ばれたらどうしよう」と困ってしまいました。
そしたら、やっぱり、大隊長どのがほへい砲を持ってやってきました。
大隊長どのは「武器を捨て、投降すれば大事にはしない」と言うのですが、
前にも、「必ずりんごを皆に食わしてやる」と、約束しておいて、それを破ったので、
誰も信用しませんでした。
そのうち、先任軍曹の葛岡さんが、「もう駄目だ、皆で故郷の方を向いて自決しよう」
と言うので、みんなで思い〃の方を向いて、しりう弾の紐を引っ張りました。
でも、僕は怖くなって、逃げ出したので、無事でした。
それから、ずっと、独りで島の中を逃げ回っていたのですが、
いつの間にか、誰も居なくなってしまいました。
お腹がすきました。
そこで、前に自決したみんなのことを思い出して、行ってみました
でも、埋められていて、何処にも見当たりません
なので、もう、何も食べるものがありません
そうやって、困っていると、なんと、大きな船がやってきて、米兵がやって来ました
米兵は沢山撃って来ましたが、僕は痛くも痒くもありません
知らないと思いますが、米兵は、意外に、もろいです
両の肩を掴んで、それぞれ違う方向に捩ると、真ん中から身が割れるのです
そうすると、奇麗な、クリーム色の胸肉が出てきます
これが、とてもおいしいのです
僕はお腹がいっぱいになりました、よかったです        終