>139
『もしもし!?もしもし!?警察ですか!?うちの娘が居ないんです!ゆ、誘拐され』
『落ち着いてくださいお母さん。大丈夫です。捜索願ですね。お嬢さんの年齢、背格好、服装を教えてください』
『あ、あ、はい、あのう、身長163センチで髪はショートボブ、染めたりしてません、服は今日はグレーのパーカーにジーンズ、あのちょっとお尻が大きいのを本人は気にしてましたけどスタイルはいいほうで』

(おい)
(ああ通知のあった奴だ)
(ドンの)
(しぃっ!!)

『わかりましたお母さん』
『え?あ、はいあの』
『お母さん、誠に申し訳ありませんがそれは神隠しです』
『は?』
『神隠しです。昔からあるでしょ。お嬢さんはきっとどこかで幸せに暮らしてますよ。お元気で。それじゃ』
『え?あの?もしもし、もしもし!?』


その後お母さんが何処からどう電話しても警察にはつながらなかったという。
そしてさらに翌日にはお母さんも周りの人も、娘はアメリカ人と恋に落ちてもう半年も前に嫁に行ったのだということを『思い出した』という。