>フランスは、刑務所が不衛生やで慢性の過密状態(平均収容率142%)であることから欧州人権裁判所から数回、有罪判決を受けている。
>一件は、9m2の部屋に2人で収容されている、刑務官との口論の末に箒を取り上げられ掃除ができない、
>トイレの水が流れない、トイレのドアがない、洗面台の上にある電気コンセントが壊れているなどを理由に、
>2006年に、ナンシー刑務所(2009年に閉鎖)に入所していた受刑者が国を起訴した事件だ。
>その結果、2013年、フランスは欧州人権裁判所から「受刑者に対して非人間的な処遇をした」として有罪判決を受けた。
>また、受刑者の自殺も多い。
>パリ近郊のフロリー・メロジ刑務所では、今年9月の時点で連続12人(うち女性1人)の受刑者と、刑務官の1人が過労死で自殺している。
>国際刑務所監視機関の調べでは、同刑務所の男性棟では定員2505人のところへ4138人の受刑者と収容率は165%にものぼる。
>国際刑務所監視機関は、受刑者と刑務官の関係を悪化させる理由に、刑務所の過密状態、
>また、刑務官に研修期間中の人が多くベテランが少ないこと、慢性の人手不足をあげている。
>フロリー・メロジ刑務所では、この7月には60人の受刑者が散歩の後に自分の部屋に帰ることを拒否するという事件が起きたが、
>このような場合、人手不足が大きな事件を招きかねない。
>状況に対応するために、健康な受刑者のうちで希望する人のみが赤十字のカウンセラーのもとで研修を受け、
>身体的・精神的に不安定な受刑者の面倒をみるといったシステムが試行されており、すでに14の刑務所で実施されている。
>しかし、自殺の理由は過密だけではない。
>自殺をした人々のプロフィールをあげてみよう。
>無賃乗車常習で3ヶ月の禁固刑を受けた25歳の若者、保険なしで車を運転して2ヶ月の禁固刑を受けた家族持ちの男性など、軽罪に釣り合わない刑罰を受けた人々だ。
>また3年間も裁判を待ち続けている女性、母親と面会した直後に刑務官と口論になり懲罰房に入れられ、その後自殺した若者もいる。
>多くの人々は、家族間の問題、学歴がなく職歴にも乏しいという背景を背負ったまま入所するため、出所しても将来の展望も暗い。
>刑務所での自殺する人の数は普通の人々の6倍にのぼる。

草も生えない