TAG交渉、先送り観測
米は対中90日協議優先 日本にプラスか、楽観と悲観交錯
2018/12/13付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38844350S8A211C1PP8000/
https://www.nikkei.com/content/pic/20181213/96959999889DE1EAEAE6E6E1E7E2E3E0E3E0E0E2E3EA8282EAE2E2E2-DSKKZO3886037012122018PP8000-PN1-3.jpg
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日米の物品貿易協定(TAG)の交渉開始時期が、2019年1月から先送りになるとの見方が日本政府内で浮上している。
TAGを担当するライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が中国との90日間の貿易交渉も手掛けるためだ。
6月のトランプ米大統領の来日時にTAGで一定の譲歩を迫られる懸念もあったが、米中摩擦が激化すれば回避できる可能性も出てきた。

米中は12月1日の首脳会談で貿易戦争の打開を探るため、90日間の協議に入ると合意した。期限は来年2月末だ。
知的財産権保護や技術移転の強要など中国の構造問題が議題になる。米国は対中貿易赤字の削減も中国に求める。

米国は華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)など中国企業の具体名も出して攻勢を強めている。華為技術の幹部が
逮捕された事件は米国は90日間の協議と別問題だと説明しているが、米中の摩擦が激化する材料になるのはたしかだ。

米中間の協議が難航すれば、ライトハイザー氏は当面、中国問題にかかり切りになる可能性がある。米中関係が落ち着くまで、
同氏が日本とのTAG交渉に時間を割けなくなる可能性もある。

日本側の交渉担当者は茂木敏充経済財政・再生相だ。日本政府は当初、1月下旬にもTAGの初会合が開かれるとみていたが、
米中協議の終了期限である2月末まで動かないシナリオもささやかれ始めている。

日米はTAG交渉の決着時期を定めていない。ただ6月下旬には大阪市で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて
日米首脳会談を開く見通しだ。日本政府内では来日するトランプ氏との友好関係を示すため、その場でTAGに関する
何らかの成果を示す案がある。事前の交渉が乏しければ6月の段階で日本に譲歩を求める圧力は減る、との見方がでている。