江畑謙介「日本に足りない軍事力」2008年より 

中国や北朝鮮の弾道ミサイルや巡航ミサイルによる航空基地攻撃の可能性を考えるなら、
F-35Bを選定するという可能性も真剣に検討すべきだろう。
もしF-35Bを採用するなら、海上自衛隊の「ひゅうが」型ヘリコプター護衛艦(DDH)、ないしは、
より航空機運用能力を高めた発達型DDHへの搭載も可能で、強力な洋上航空作戦能力、
つまりは(現在日本に欠けている軍事力の一分野である)パワープロジェクション能力を持てるようになる。
搭載するF-35Bは海上自衛隊の所属である必要はない。
航空自衛隊の機体でも、海上自衛隊のDDHに搭載され、本当の意味での「統合運用」を実現するなら、国民、
納税者としても防衛費の効率的運用と、実質的な防衛能力の向上が得られるはずである。


日本が本格的パワープロジェクション能力を持とうとするなら、最小限イタリアの「カブール」級程度の大きさ、
航空機の運用効率を考えるなら英海軍の「クイーン・エリザベス」級程度の大きさが必要になる。
しかし、それを実現するためには、

@財政問題(防衛費と、建造後の長期にわたる運用経費の見積もり)への配慮、
A日本がこの種の本格的空母を持つことに対して、世界の懸念を招かないような、しっかりとした外交政策、

この二つが必要になる。