『シュタインズ・ゲート ゼロ』コラボ時計発売記念!モモーイが見た90年代のアキバ〜
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──では、秋葉原へはずっとひとりで通っていたのですね。
桃井:秋葉原はいい街です。新宿とか渋谷は2〜3人で行動している子が多い街だったので、
私がひとりで歩いていると肩身が狭いんです。でも、当時の秋葉原はひとりの人ばっかり。
誰も他人の顔なんて見てないんです。彼らはみな、「ネジを買う」とか「トランスミッターを探す」とか
「ゲームを買う」とか、なにか目的を持っているんです。
だから中学生女子の私がひとりで歩いていても気にしません。本当に居心地のいい街でした。

──高校生がアルバイトをするのが一般的じゃなかった時代なのでしょうか。
桃井:友だちが時給1000円以上のお仕事を探してきたんです。しかも仕事の内容はレジ打ちで、勤務地が秋葉原です。
怪しいじゃないですか?(笑)「ひとりで行くのは怖いから付き添ってくれ」と頼まれました。
怪しいことはぜんぜんなくて、秋葉原によくあるジャンク屋でした。
面接をするオーナーから「君も働かないか?誰も来てくれないから困ってるんだ」と誘われてしまいました。
話を聞いたら、本当にレジ打ちをするだけ。私も働くことにしました。

──そんな普通のジャンク屋で、なぜ1000円以上も時給をもらえたんですか?
桃井:条件がひとつだけあったんです。商品をお客さんに渡すときは、ニッコリと笑顔で、心をこめて渡すことです。
オーナーに理由を聞いたら、「男っていうのはね、かわいい女の子に商品を渡してもらえるだけで嬉しいものなんだよ」って言ってました。
要するに「萌ビジネス」です。まだ「キュアメイドカフェ」とかも創業前だったはずです。
そんな時代に「萌ジャンク屋」を作ったオーナーは、いま考えるとめちゃくちゃ先見がある人だったと思います。
しかも店は「くず屋うさぎ堂」という名前で、ちょっとかわいいんです。

──店員さんがかわいい女の子だったら、客から声をかけられたり誘われたりしないのですか?
桃井:まったくありませんでした。アキバに来る人はみんな紳士です。ナンパされたこともないし、ストーカーもいませんでした。
ですが、渡される1000円札はつねに湿ってました。