あのころ、カルロス・ゴーンはまだ疑うことを知らなかった。
敬意に溢れた待遇、弁護士立会の元の取り調べ・・・。
取り調べは四週間――それもフランス本国艦隊の砲艦外交で息もつかぬうちに、すぐ終わる。
大した犠牲を出すこともない・・・。
私たちはこんなふうに、2018年の逮捕を単純に思い描いていた。

クリスマスまでには家に帰ってくる。

新しい囚人たちは、笑いながら報道陣に叫んだ。

    「クリスマスにまた!」