俺が言ってるのは先日地球に帰還したこうのとりの回収カプセルな。

高速で大気圏に突入する際、空気は逃げ場が無いのでカプセルで圧縮される。局所的に圧力が急上昇するのに伴い、接触面の温度も急上昇する。
温度上昇を正確に予想できないと、アブレーターの仕様が決まらない。
温度上昇を予測するには、接触面各部のマッハ数が必要。
アブレーターは熱で気化して削られていき、回収カプセルの接触面はどんどん変形していく。
減速が進むにつれ、接触面と大気の関係は加熱から摩擦力にシームレスに変わっていく。
変形を予測できないと、摩擦力で簡単に姿勢を崩してしまう。
大気との摩擦力を予測するにはレイノルズ数が必要。

マッハ数、レイノルズ数、アブレーターの溶け方を正確に把握したから、世界最小物体の揚力制動が成功した。