クリスマスは過ぎ去った
いい子にしてたのに、真っ赤な服の白ヒゲおじさんは幸せを届けてくれやしなかった

24日の夜、ぼくは枕元に白い靴下を置いた
どんなプレゼントだって余裕で入りそうな、大きな大きな靴下だった

「アマゾンのギフトカード1万円ください」
一片のメモ用紙にそう書いて、靴下のくるぶしに縫い付けた
そして二つの夜を跨ぎ超えて、やってきた26日の朝
湧き出る期待感に胸を躍らせながら靴下を覗いてみると、蠅の死骸が一匹うずもれていた

お前のクリスマスプレゼントなんざこれでじゅうぶんだ
どこからかそんな声が聞こえた気がした

かくしてぼくのクリスマスは過ぎ去った
一匹の死骸と、洗濯機行き確定の一足の靴下を残して
ひとりぼっちで悲嘆に暮れるぼくを嘲笑いながら
ゲイでサディストなサンタさん
また来年も来てくれるかな