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『ちいちゃんのかげおくりを読んで 三ねん一くみ ナナシ・ヘッズ』

 「かげおくり」という遊びは皆さんもご存じだろう。これは残像を利用した遊びだが、人の人生もまた残像のようなものと言えなくもない。
 ちいちゃんの家族はカラテを究めた結果空中機動家族となり空の神兵として護国の鬼となったが、ちいちゃんは年少だったこともあり、空中機動カラテを身に付けるのが遅れた。
 或いは配給制によって栄養状態の悪化が影響していた可能性もあるが、いずれにせよ、彼女も物語終盤にして空中機動カラテに開眼した。この後に米陸軍航空隊員の辿った命運は悲惨の一語。
「かげおくり」がニンジャめいた不思議な武力行使の隠語であることは既に皆さんもご承知の通りだが、ちいちゃんらの放つそれは子供故の無慈悲さ、残忍さを隠そうともせず、目の当たりにしたご近所のおばさんは静かに失禁。
 銀に輝くB公は、そのいずれもが燃え盛る十字架となって巨大な墓標を地面に打ち立てた。
 おお、なんたる惨禍であろうか! まるで古事記に記されしツキジめいた有様!
 そんな中英海軍がやってきて山下将軍への復讐を訴えるが、米軍は「すっこんでろブルシット」と取り合う様子もない。それもそのはず。襲い来る影の魔人の猛威の前に、茶番に付き合っては居られぬのだ。
 今はただちいちゃん殺すべし。この青空を朱に染める、恐るべき悪鬼を。(おわり)