陸上イージス、共同交戦能力搭載せず=防空機能欠如、既存兵器で補完 (時事 4/7)

日本が導入する陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に、早期警戒機やイージス艦との間で敵ミサイルなどの位置情報を共有できる
共同交戦能力(CEC)システムを搭載しないことが5日、関係者への取材で分かった。

秋田、山口両県への配備が検討されているイージス・アショアは弾道ミサイル防衛のみに特化し、航空機や巡航ミサイルに対する防空能力は
持たないことになる。

CECは自艦のレーダーが敵ミサイルや航空機の位置を探知しなくても、味方のレーダーが捉えた情報を基に迎撃を可能にするシステム。
複数の艦船や航空機のレーダーを連動させれば、迎撃範囲や対処速度を大幅に向上できる。
航空機や低空を飛行する巡航ミサイルに対する防空能力を付与する為、イージス・アショアにも搭載されるとみられていた。

だが、関係者は「イージス・アショアは弾道ミサイル防衛の為の物だ」と説明。
「CECは装備としてあるに越したことはなく、将来検討するかもしれないが、現時点で搭載予定はない」と明らかにした。

別の関係者は、CECを搭載すれば数百億円の追加費用が発生すると指摘。
「費用対効果」の観点から、イージス・アショアとその周辺に対する攻撃には、既存のイージス艦や地対空ミサイルで対応する方針だと語る。

米海軍のイージス艦や海上自衛隊の最新イージス艦「まや」型、航空自衛隊の新型早期警戒機E2DにはCECが搭載される。
米軍筋は日本が北朝鮮の弾道ミサイルだけでなく、中国の脅威に対応するには防空能力強化が必要だと強調し、
「将来の必要性は自明なのに、なぜ弾道ミサイル防衛だけに限定するのか」と首をかしげる。

イージス・アショア導入費用をめぐっては、防衛省が当初、1基約800億円との見通しを提示。
その後1基当たり約1340億円になると上方修正し、批判を浴びた経緯がある。
搭載するレーダーに米ロッキード・マーチン社製の「SSR」を選定したことで、今後開発試験にかかる費用が発生する可能性もある。
CEC搭載を断念した背景には、高騰する取得費用に対する批判を避ける狙いもありそうだ。 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190407-00000011-jij-n_ame&;pos=2