阿頼耶識との同調を限界まで引き上げ、ダインスレイヴを馬庭念流の矢留のごとく刀で弾き飛ばすバエル。
彼らは忘れているのだ。バエルを英雄たらしめているのは一体何だったのか。
一体だれが、何が厄災の時代に禁忌の器を封じたのかを。
禁忌(バケモノ)の相手などとうに慣れている!
マクギリスの意識とバエルの間にあった境界線は、既に取り払われていた。
高まる高揚感。陶酔。
吹きすさぶ破壊の嵐の中、マクギリスは己の願望を、はじめて自覚した。

ラスタルとの対決を制し、ただ一人生き残ったマクギリスはヴィーンゴールヴに再び降り立つ。
望んでやまなかった自分だけの救世主(バエル)。手にした果てに希求したのは何だったのか、何故三日月オーガスの在り方に惹かれたのか、今わかった。
セブンスターズ、ギャラルホルンの中枢、そして厄災の遺産。すべてがそろうこの瞬間。一体何をしたかったのか。
結局、あのころから何一つ変わってはいなっかった。
たった一つ。たった一つの子供の癇癪のような衝動。それが全てだった。
バエルと完全に交じり合い、意識が閉じる最期の瞬間。
彼の瞳は、夜明け前の空に輝く砂の星をどこか懐かしそうに映していた。

かつてヴィーンゴールヴと呼ばれた海の廃墟に、ひとりたたずむ大きな人影がある。
機械仕掛けの臓物に自ら刃を突き立て祈るように跪く鋼鉄の巨人。
朝焼けに染まる穴だらけの巨体を海風が吹き抜け、角笛のような低い唸りを響かせている。
その音色は、何かを告げるかのように夜明けの空へと溶けていった。

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という感じの駄文が唐突に頭に浮かんだのじゃが、こんな感じの二次創作SSとかあったら教えてほしいのじゃ。