6/10(月) 6:00配信
三菱重工が赤字のボンバルディア「CRJ」買収を急ぐ
理由
カナダのボンバルディアは6月5日、リージョナルジェ
ット機「CRJ」の売却について三菱重工と交渉中であ
ることを明らかにした。三菱重工は、航空機部品のサ
プライヤーから航空機メーカーへの転換に苦戦してお
り、赤字のCRJを買収してでも、同社が持つ豊富な整
備拠点を手に入れることが狙いだと思われる。
三菱重工は当初、ツインエンジンのリージョナルジェ
ット機「MRJ」を2013年にANAに引き渡す予定だっ
た。しかし、この計画は大幅に遅れ、90席級の機種を
2020年に納入することを目指している。
Teal Group で航空宇宙業界のアナリストを務める
Richard Aboulafiaは、「三菱重工は、航空機の整備
の経験が乏しく、インフラも整っていない」と述べ、
同社が競合のCRJを買収することで、課題である製品
のサポートと保守を充実させることができると指摘し
た。
今回の買収については、米国の航空専門メディア
「The Air Current」が最初に報じた。モントリオー
ルに本拠を置くボンバルディアは、経営不振に陥って
いた航空機メーカーのカナディア社をカナダ政府から
買収し、航空機事業に参入した。
1989年には、カナディアが開発したビジネスジェッ
ト機「チャレンジャー」を改良した50席の航空機
「CRJ」をリリースした。当時はジェット燃料が安
く、米国では短距離路線でプロペラ機からCRJに切り
替える航空会社が相次いだ。ボンバルディアはCRJを
1950機販売したが、2000年代に入ると石油価格の高
騰や、航空会社の再編による路線の削減により、需要
は低迷した。