>>668
もちろん、「国際秩序が破壊されるから主権免除は当然認められるべきだ」という考え方も当然有り、
これは、外交保護権の問題は、国際社会の中で解決すれば良いのだというわけです。

他方、主権免除を認めるべきでは無いという考え方には、大別して二つがあり、
一つは、現在の主権免除を中心とした国際法の考え方をベースに置くものです。
これは大別すると、
「国家は悪いことをしないはずだから、違法行為は主権的行為では無いから主権免除しなくていいよね」というものと、
「国家が悪いことをする以上、裁判上等だろ?だから主権免除しなくてもいいよね」というものです。

もう一つは、主権免除そのものに疑義を呈するもので、
「国家が悪いことをしている時、これを裁くのは慣習法の例外」と考えるもの
「国家が悪いことをしている時、これを認めるのもそもそも国際法上違法なんで無効」と考えるもの
そして、
「現代国際法の体系上人権侵害を主権免除対象として認めるべきでは無い」と考えるものがあります。

まあ、いずれの方式を採ったところで、国家に対して物理的強制力を持つ判決は出せませんので、
損害賠償を民事的アプローチで得るのは難しいのですけれどね。