「対テロ戦争」を信じている人々は、欧州が現在、再び戦争状態にあると主張する可能性がある。
同意しない人々も平和が安定しているとは主張しないだろう。

レオン・トロツキーは、かつて「諸君は戦争に関心を持たないかもしれないが、戦争は諸君に深い関心を持っているのだ。」と述べた。

これは、戦争のことは忘れ去ったと信じている欧州人がよく考えるべき教訓である。
欧州は、もはや自分達の戦争を引き起こしたり、それを世界に広めたりはしないかもしれない。
だが、全地球的体制における広範囲な紛争に国境を閉ざすことはできない。
欧州はそこから離れることなどできない。
その体制の一部だからである。

(以上、「ヨーロッパ史における戦争」マイケル・ハワード著、奥村房夫・奥村大作訳の概要、
詳細は中央文庫の原書で御確認を。圧縮した部分も格調高く素晴らしい。)