実際に哨戒ってどういう風に行われているのか現場にいないと中々判らないけど、
仮に哨戒艦をばらまいてそれで監視、っていうことなら、例えばマストの高さが
50mで一番高いところに水上レーダーを置いたとして、一隻で監視出来る範囲は
半径50kmくらいになる(監視対象のサイズにもよるが、ここでは高さ30mの軍艦)。

これだと監視網としては割と穴だらけだと感じるし、その穴を他のアセットに埋めて
もらうことを期待するなら、何のための新艦種なんだろう感は拭えない。

一隻が担当する常続監視の可能な面積を広げるなら、やはり高空から見張る装備が
かかせないが、有人ヘリはもとよりUAVでさえも人手を喰うというジレンマがあって、
艦艇の省人化を目指す今後の海自にとって最善の解決策とはなかなか呼べない。
(とくに哨戒艦)

ただUAVはMTOW200kg台の機種なら、オペレーター整備士含めて4名で運用出来るという
メーカー発表なんかもあるので(Skeldar)、オペレーターは地上基地に配置して
整備士だけ乗艦させて……という手法は次善の策として考えられなくも無い。

DARPAが研究中のTALONSはどうだろうか。
パラセイルに監視機材を載せ、自艦から150m〜500mの高度に揚げるという発想。
機材の重量なんかの制限もありそうなので、仮にここでは300mにレーダーを持ち上げた
とする。
その場合見通し距離は93km程度まで拡大するので、自艦のマスト装備の機材に頼るより
かなり改善する。

ただベースがパラセイルなので、常時ケーブルが艦の後上方へ延びているわけで、
もし艦に飛行甲板が用意されている場合、その利用を大きく制限してしまう。
よってTALONSは飛行甲板を持たない船体設計により適した装備と言う事になる。
哨戒艦は1000tクラスとされているので、このサイズで飛行甲板を設けないというのは
かなりもったいなく、TALONSという選択肢はとりにくい。

どうしたものか。