静岡県が大井川の減水問題などを理由に、リニア中央新幹線の建設工事に「待った」をかけ
続けている。
 「川勝知事は、(リニアの工事により)大井川下流域の藤枝市や焼津市で汲(く)み上げている
地下水が減ると、住民が生活に困ると指摘します。しかし、JR東海は、トンネルで発生した湧水は
導水路トンネルで大井川に戻すと言っています。それを実行すれば、下流域の水資源利用に
問題はないはずです」と元島田市長で現在は県議会議員の桜井勝郎氏は話す。

 川勝知事は、湧水について「全量戻すこと」を主張して一歩も譲っておらず、最近になって
「全量には工事中に湧く水も含まれる」という主張を始めた。
 大井川の平均流量(毎秒約75t)に比べ、工事中の一定期間、山梨側に流出する量(毎秒0.3t)が
大井川中下流域に及ぼす影響が多いとは思えないと、トンネル工学を専門とする首都大学東京の
今田徹名誉教授は中日新聞のインタビューで答えている。

 「トンネルで(失われる)最大で毎秒2tの水が県民の命にかかわるというのなら、なぜ、(大井川
上流にある)東京電力の田代ダムで毎秒4.99tの水を、導水路トンネルで(大井川流域ではない)
山梨県側の発電所に送り、富士川に放流させるのでしょうか。」と先述の桜井県議は打ち明ける。

 (リニア中央新幹線は)静岡県にとってもメリットがある。災害時には、東西両方向から救援しや
すくなる。
 また、リニア中央新幹線が全通すれば、東名阪を高速・短時間で結ぶという「のぞみ」の役割が
リニアへ移るため、ダイヤに余裕ができ、静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の「ひかり」と
「こだま」が増発される予定ともいう。県内停車の「ひかり」が1時間に1本から30分に1本になるだけ
でも、静岡県民にとって格段に便利になるだろう。

 川勝知事を筆頭とした静岡県がやっていることは、静岡県民の利益になっているのだろうか。
冷静な議論を求めたい。
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