もしも日本が経済の構造改革を本気で進める政治決定を行い、産業の転換を促す抜本的な政策を
志すならば、農本主義的な地方へのばら撒きや製造業に対する支援はすべて打ち切り、金融とソフト
ウェアなどの「カネになる産業」「世界で戦える業界」にだけ重点的に予算と人材をつけ、子どもの教
育から産業競争力に至るまで一貫した経済政策を実現する必要はあったでしょう。

 言わば「陽はまた昇る(映画)」の世界であり、新しい時代の殖産興業論のような政策を起案し実現
する必要がありました。安倍政権においては、むしろ地方創生、ふるさと納税などの縫合策に徹し、
都市部も地方も一体となった日本経済全体をどうにかするという取捨選択をしない政治にシフトした
結果、米山さんが憂う「日本が何をして何をしてこなかったか」の議論に直結することになります。

 ただ、そのような政策を実施する過渡期に起きることは、地方経済の猛烈な壊滅であり、地域社会
の崩壊であって、地域の産業が維持できない地方はそのすべてにおいて再起不能なほどに衰退・
消滅を余儀なくされたことでしょう。

 国際比較から見て、日本経済が相対的に競争力を失い、魅力のない衰退国家になりつつあるとは
いえ、全体のGDPはいまなお世界第3位であり、労働力人口の減衰があってもなお余力は残されて
います。国際競争力を確保するためにお荷物になっている地方経済や高齢者に対する救済を産業力
強化に振り分けるべきなのか、ある程度の衰退は受け入れながらもいまある平等を目指して努力を
続けるのかは、消費税増税も実施されたことですし貿易相手国・中国の大規模な景気低迷の波が
日本を襲う前に国民的な議論にしていく必要があるのではないかと思わずにはいられません。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191028-00148705/

・・実はむずかしい問題やねぇ