IS追い詰めた軍用犬、日本にも 紙吹雪舞った出征式 (朝日 11/9)

シリアで過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者を追い詰め自爆させたのは、米軍特殊部隊の兵士ではなく、
軍用犬だった。 トランプ大統領はツイッターで、この犬の写真を公開し、世界中を驚かせた。
遠い海外の出来事と思うかもしれないが、80年前、日本も犬を戦場へと送り込み、積極的に活用していた。このほど、そんな歴史をひもとく、
一つの映像が見つかった。

「祝出征」。のぼり旗を掲げた隊列が繁華街を行進する。沿道の百貨店の窓からは紙吹雪が舞い、日の丸の小旗を持った店員の顔が並ぶ。
バンザイする人々の前を、犬たちを中心に据えた隊列は足早に進んでいく――。
太平洋戦争や日中戦争のさなか、1939年に北海道小樽市で撮られた映像の一コマだ。

こんな光景が記録されていたのは、朝日新聞社が戦前に制作した「軍用犬の出征」というタイトルの子ども向けニュース映画だ。
ナレーションは犬たちをこう持ち上げた。
「戦地で兵隊さんたちにまじってたくさんの手柄を立てている軍用犬。これは北海道のある街から出征した軍用犬たちの勇ましい姿です」
(中略)

・軍用犬、注目のきっかけは
軍用犬とは、軍隊での伝令・捜索・警戒などに適した犬を指す。
注目されたきっかけは、第1次世界大戦だ。毒ガスや戦車、飛行機が新兵器として登場するなか、欧州各国は、犬も積極的に戦場に送り込んだ。
戦場で負傷した兵士を捜索し医薬品を届けたり、救護班を導いたりする「衛生犬」などが登場。犬が戦争で「使える」ことを示した。

欧州の戦場での活躍を知った日本陸軍は「軍用犬研究班」を設置。
31年の満州事変では関東軍の軍犬隊が出動し、死亡した犬の話は、戦意高揚のため大幅に脚色されて小学校の国語の教科書に載せられた。

日本陸軍はジャーマン・シェパード、エアデール・テリア、ドーベルマンの3犬種を指定。
軍の肝煎りで設立された社団法人・帝国軍用犬協会などの取り次ぎで、民間から買い上げられたり献納されたりした。(続く)