カミュの小説「ペスト」が人気 新型コロナで1万部増刷

フランスの作家、アルベール・カミュ(1913〜60年)が1947年に発表した小説「ペスト」の売れ行きが好調だ。

文庫を発行する新潮社は2日、1万部の増刷を決めた。伝染病で封鎖された街を舞台にした物語が、新型コロナウイルスの感染拡大と重ね合わせられているようだ。

ノーベル賞作家の代表作の一つである「ペスト」は、アルジェリアの都市で高い致死率のペストがはやり、死者が急増。感染拡大を防ぐために街は封鎖され、孤立状態になる。主人公の医師らが、ペストの猛威や人間性を脅かす不条理と闘う姿を描く。

同社によると、新潮文庫版は69年に刊行。ロングセラーとして、毎月平均300冊ほど出荷されていた。ところが、中国の武漢市が封鎖された1月下旬ごろから注文が急増。
ツイッターで「武漢はまるで『ペスト』のようだ」などの反応があった。2月中旬に4千部を増刷し、さらに1万部の増刷を決めた。

同社の広報担当者は「タイミングからみて、新型コロナウイルスの影響としか思えない。全く予想しておらず、ただ驚いている」という。
「ペストの脅威と闘う登場人物の姿と、今のコロナウイルス状況を重ねているのではないか」と話した。(宮田裕介)

https://www.asahi.com/articles/ASN32643TN32UCVL014.html
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