【離米】米欧同盟、揺らぐ意義 「脳死」状態のNATO 対中ロでも温度差

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が英ロンドンで開催された。
最大の焦点になったのは、フランスのマクロン大統領が「脳死」状態だと批判した加盟国間の戦略的連携の欠如だ。
米国の自国主義、トルコのシリア侵攻など創設70年を迎えた同盟の意義は、根幹である集団防衛義務を首脳宣言で再確認しなければならないほど大きく揺らいでいる。

マクロン氏は4日、首脳会議終了後の記者会見で、NATOを「脳死」と評した先月の英誌での発言の効果を自賛してみせた。

発言の背景には、欧州の庇護者だった米国の同盟軽視や欧州離れという「まぎれもない変化」(マクロン氏)への危機意識がある。
集団防衛での負担が不公平だと不満を募らせるトランプ米大統領は、同盟離脱さえちらつかせて国防支出の増加を迫り、欧州を執拗(しつよう)に批判。
さらにシリア北部からは一方的に米軍を撤退させた。

こうしたことから、欧州の安全保障維持には同盟の戦略的な再定義が必要というわけだ。

ロシアについては「皆が敵と見なしているとは思わない」と述べ、戦略対話の再開の必要性を改めて訴えた。

また今回、初めて議題となった中国については「集団防衛の対象となるとは思わない」と発言。
中国との貿易戦争を展開し、欧州にも対決姿勢を促す米国との温度差をにじませた。

12/7(土) 8:33配信(ロンドン時事)