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3. 宇宙大型レーダ衛星
前記の通り,これまで研究開発を進めてきた展開トラス
構造物とその組立技術については,地上実証がほぼ終了し,
宇宙機への適用も検討できる段階である.

展開トラス構造
物の詳細は,参考文献 1,2 に詳しい.
この展開トラス構造を適用した場合,H-UB,H3 ロケットフェアリングに収納
できる板状構造アンテナの大きさは最大 40 m 四方程度となるが,これを,例えば 2 GHz 帯のフェーズドアレイアンテナとすると 60 dBi 以上の開口利得が得られる.
この性能は,静止軌道に配置したこの衛星が,携帯電話の中継基地として使用できる可能性を示し,地球規模の覆域を持つ通信,災害に無関係な非常通信など,様々な画期的通信ミッションが想定できる.
また,このアンテナをレーダとして利用すると,これまで実現が難しかった高性能宇宙レーダ衛星を実現し,宇宙からの航空機・船舶の管制や警戒監視を行うことも可能になると考えられる.
現在は地上や航空機に搭載したレーダを必要な地域に配備して,航空機等の対象物の位置や動きを監視している.
この機能を宇宙機に持たせることができれば,非常に広範囲をカバーできる画期的なセンサとなる.
例えば赤道上空高度 5,000 km の軌道に 4 機を均等に配置し,地球規模の管制/警戒監視を行うレーダを想定した場合,
前記 40 m 級開口径(第 4 図)であれば,数u RCS 以上のターゲットを探索でき,民間航空機からステルス機まで,すべての飛行物体を捕捉できる可能性がある(第 5 図).
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