BBCが英政府のノーガード戦法からの方針変更の裏側で起きていたことを解説

【解説】 なぜイギリスは方向転換したのか 新型ウイルス対策
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-51996098

冷や水を浴びせられたような認識の変化は、16日の政府発表までの数日間であっという間に起きた。
  (中略)
政府のウイルス対策に大きく影響しているのは、インペリアル・コレッジ・ロンドンのCOVID-19対策チームだ。中国湖北省の事態がいかに深刻かいち早く気づいたこのチームは、政府に方針転換させるほどの決定的な証拠を提示した。
  (中略)
政府首席科学顧問のサー・パトリック・ヴァランスがこの「緩和」策についてBBCに説明したのは、方針転換のわずか数日前、今月13日のことだった。
  (中略)
しかし、インペリアル・コレッジ・ロンドンの数量モデルは、もしイギリスが何も対策をとらなければ、国民の81%が感染し、8月までに51万人が死亡するという見通しを示した。
緩和策はまだましだが、それでも25万人が死亡し、NHSの集中治療能力は完全に破綻するという見通しだった。
イタリアの経験と、イギリスの初期状態から得られた予測だった。
  (中略)
https://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/21EF/production/_111378680_uk_optimised-fig_3-nc_edited-1.png
イギリスの医療機関に可能な集中治療能力の「少なくとも8倍」の態勢が必要になるとされた。しかもこれは、緩和策が最もうまくいった場合という、最大限に楽観的なシナリオだった。
「政府は様々な形でNHSを増強しようと準備していたが、それでも各地の集中治療室はパンクする危険が高かった」と、インペリアル・コレッジのニール・ファーガソン教授は話した。
対策チームは、「現時点では、有効な戦略は封じ込めしかない」と結論した。それによって死者数を数万人、できれば数千人に抑えたいと、政府は期待している。
  (中略)
しかし、インペリアル・コレッジの研究に参加していない疫学予測の専門家、アダム・クチャルスキ博士は、「簡単な解決策はない」と言う。
「これまで色々分析していたが、これほど難しい集団感染は初めてだ」と博士は話した。
「深刻な打撃が何もないままこれが終わるなど、まったくあり得ない」