>>482
> 運動戦って普通できるかぎり運動エネルギーを殺さないようにやるもので

正しくは、運動エネルギーを殺さないように、ではなくて、
(機体の)運動エネルギーと位置エネルギーとの合計(総エネルギー量)を減らさないように、だ。


> 減速能力って概念として運動性に含めることはあっても実戦で使う場面あるか?

まず最初に注意しておくと、
速度(そして質量との積である運動量)はベクトル量でエネルギーはスカラー量だということを正しく理解しておく必要がある。

例えば次の状況を考えよう。
今、真北にM0.9で戦闘機Aが巡航しているとする。この時、AWACSから真東から敵機Bが接近しつつあるとする。
そうするとAが接敵のためにBに正対して急行するためには右に90度方向転換をする必要がある。

つまり地上座標系で言えば、最初に戦闘機Aがもっていた北向きのM0.9という速度成分をゼロにして、
東向きの速度成分をゼロから可能な限り大きな値を獲得せねばならないが、
機体座標系で言えば90度の右旋回を行うのだから、右に大きなバンク角をとって旋回することになる。

この前者の北向きの速度成分をゼロにする、つまり北向きの速度成分に関して減速するのは
大きなバンク角でのバンク旋回によって主翼や胴体などに受ける空気抵抗による以外に手段はない。

戦闘機Aの北向きの速度成分をゼロにするまでの時間が長い(北向きの速度成分に関する減速率が低い)ということは、
Aは90度旋回に要する時間が長い、つまり旋回率が低いということを意味する。

従って、空戦機動では速度ベクトルの向きを迅速に変化させることが極めて重要なので、
加速だけでなく減速も重要なのです。