>>159
「アナタが先手を指して実際構いません」「ヨロコンデー」

アベはブッダめいたアルカイックスマイルを浮かべると、奥ゆかしく相手に先手を譲った。
皆さんもご存じの通り、ショーギは圧倒的に先手有利なスポーツで、
一説には後手が互角に指すには先手の三倍の技量を要するとも言われる。
だがしかし……おお、ナムサン!

「イヤーッ!」「アイエッ!? ま、マッタ、アベ=サン! マッタだ!」「マッタなし。慈悲はありません」「アバババー!」

アベは先手が駒を指すのと同時に目にも止まらぬ恐るべきスピードのカラテを行使し、5三核を指す! 王手金銀取りだ!

「ナンデ! 教科書に無いぞ!」「歴史とは我が民族の歩んだ跡に刻まれる。アナタはそこに記された一文となるのだ」「アイエエエ! アイエーエエエ!」

ショーギにおいて、相手の手が仮にルール違反であったとしても
その場で指摘、或いは阻止できなかった場合、その手は有効とされる。
アベはその恐るべきカラテによって、この見事な指し筋を実現して見せたのだ。
おお、ナムアミダブツ……ナムアミダブツ……