全米で人種差別への抗議デモの一部が暴徒化している事態の対応をめぐり、
米政権内で亀裂が生じている。

「暴動制圧」に連邦軍動員も辞さない姿勢を示すトランプ大統領に対し、
エスパー国防長官は「支持しない」と明言。

マティス前国防長官も軍を使って国民の権利を踏みにじる行為だと批判した。
米軍内部でも自国民に銃口を向ける可能性に戸惑いが広がっている。

「連邦軍動員は最後の手段だ」。
エスパー氏は3日、騒乱対応に軍を動員することに反対した。

トランプ氏はこれに先立つ1日、「州当局の対応が不十分なら、連邦軍を動員する」と宣言。
さらに、州知事らとの電話会議では、軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長をデモ対応の責任者に据えると表明していた。

国民に冷静な対応を呼び掛けるのではなく、強硬手段で不満を抑え込む手法に政権内や州知事らから批判が続出した。

政治専門紙ポリティコによると、国防総省高官もミリー氏の責任者起用に「驚いた」と述べ、
「軍を政治的に利用することが正しいとは思えない」と戸惑いをあらわにした。

一方、マティス前長官は米誌アトランティックに寄せた声明で
「米国の都市が『戦場』であり、『制圧』するために軍を動員するという考えを持つべきではない」と批判。

その上で、全米に広がった抗議デモは「過去3年間、成熟したリーダーシップが欠如していた結果だ」とトランプ氏をやゆした。
マティス氏は2018年12月、トランプ氏がシリアからの米軍撤収を強行しようとしたことに反発して辞任した。

それ以降、トランプ氏批判を口にすることを避けてきたが、
トランプ氏による軍の政治利用を阻止し、国民の軍に対する信頼を守るために沈黙を破ったとみられる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/661f9d524080d0014b365ef3a38ffaa7d6737fbe

アメリカ合衆国だけでなくトランプ陣営も分裂している模様