>>157
こうだ。(後半)

「ニイチャン」「ニイチャン」「そんな事をしても動きませんよ」

アンドロイド。いや、アンドロイドのような何か。
漆黒の粒子を身に纏った、アンドロイドですらない何者かが、いつの間にか居た。

「ニイチャン…」「ニイチャン…」

緊張で駆動部が震え、緩んだネジが抜け落ちてしまいそうなほどの恐怖。
それでも、逃げ出す事もできない兄だけは守らなくては。

「ニイチャン」「ニイチャン!」「イヤーッ!」

光学、電子、音響、熱。あらゆるセンサーが感知すら出来ない内に
彼は兄を間合いに収め、兄のボディに恐るべき打撃を与えていた。

「ニイチャン…」「ニイチャン…」

衝撃波だけで弟達が吹き飛ばされるほどの威力。
兄のボディは最早原型すら残さぬほどに破壊され尽くしてしまっているに相違ない。

「ニイチャン…?」「ニイチャン…!」

ヨロヨロと起き上がり、駆け付けた弟達が目にしたのは、
久方ぶりに再起動した兄の姿だった。

「ニイチャン!」「ニイチャン!」

あの男は一体何者だったのだろうか。それは誰にも分からない。
だが、弟達にとってはどうでもよかった。兄弟が一緒に居る。それだけで世界は輝いて見えたからだ。