これはなかなかの大物

王族の末裔かたり「建国費」詐取 会社役員の被告、福井地裁で28日判決
https://mainichi.jp/articles/20200727/k00/00m/040/049000c
「私は王族の末裔。海外にある資産を回収して王国を建国するために支援してくれれば、1・5倍にして返す」――。そんなうたい文句で
多額の金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた住居不定、会社役員、王見禎宏被告(67)の判決が28日、福井地裁で言い渡される。
6月1日に福井地裁で開かれた王見被告の論告求刑公判。4月に懲役5年の判決を受け控訴した東京都文京区、会社役員、五百旗頭
正男被告(71)と共謀し、2013年に東京都と福井県の2人から計6150万円をだまし取ったとされる王見被告に検察側は懲役5年を求刑した。
しかし、王見被告は最終意見陳述で資産が存在すると信じて疑わない様子だった。「逮捕されたからといって事業が終わるわけではない。
生きている限りやりとげなければならないという責務がある」などとよどみなく話した。
五百旗頭被告の判決や起訴状によると、王見被告らが描く事業とはこうだ。
明治天皇の父である孝明天皇がバチカン市国に数十兆円という膨大な資産を隠しており、その引受人が王族の末裔の王見被告である。
その資産を引き出すため、英国南東部の都市ブライトンに王見被告が元首となる信託統治領「ブライトン王国」をつくり、バチカン市国に
眠る資産を運用する金融機関を設立する。そのための経費として支援金を募る――。
孝明天皇やブライトン、バチカン市国といった実在の人物や地名以外は王見被告らが作り出した架空の話だ。
王見被告は1953年、広島県に生まれた。王見姓は孝明天皇から授けられた王族の末裔を示すものだと父親から聞き、家系が特別なもの
だと思いこむようになったという。皇学館大学(三重県伊勢市)では古代や中世の歴史を学んだ。90年に上京。96年に海外の投資話を通じて
五百旗頭被告と知り合う。
五百旗頭被告の判決によると、当時から王見被告は自分が王族の末裔だと周囲に吹聴していたといい、五百旗頭被告が王見被告の出自に
対する自負を利用し、犯行を計画したとみられる。