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2000年以降、王見被告の財産や「ブライトン王国」に関する情報が王見被告の元に届くようになった。00年ごろ、2人の共通の知人から英国の
会計省に王見被告の財産200億円があると聞かされ、英語が得意な五百旗頭被告と渡英したがそのような財産は確認できなかった。
02年には王見被告のために五百旗頭被告が米ニューヨークに留学する必要があるという書面が「チャールズ伯爵」らから届いた。王見被告は
数百万円を五百旗頭被告に渡したが、五百旗頭被告は渡米することはなかった。
その後も、02年に「(王見被告が)欧州連合銀行の理事に欧州王族連合と英国王族代表として推薦された」という文書が「欧州連合認証部門
代表キャビン・ジョージ」から届き、06年には「欧州王室連合」の「デヴィッド・ヴァン・ダイク」から「英国のブライトンに王見被告を元首とする
信託統治領をつくり、資産を運用する金融機関を設立するための経費が必要だ」という書簡が届いた。これらは五百旗頭被告が作成したもの
だったが、王見被告は自身の出生が特別なものだと確信を持つようになった。
これ以降、王見被告らは支援者から現金を集めるようになった。時にはセミナーを開き「王見は王族の末裔で外国にある多額の資産を引き出せれば
ブライトン王国の王になれる。そのための費用が必要で、支援してもらった経費は5割増しにして還元する」と言葉巧みに金を集めた。電話や面談で
「5割増しの還元は今だけ」「1・5倍になるのだから借金してでも支援したほうがいい」「バチカン市国からの資産引き出しは順調だ。まだ支援金を
集めている」――などと何度も金を振り込ませたという。
検察側の指摘によると、被害届が出されていないものも含めると、2人は30億円以上を集めたとみられる。五百旗頭被告は09〜18年の間に、
少なくとも約12億円を王見被告から受け取り、少なくとも2億円を生活費や知人女性への仕送りなどに使った。五百旗頭被告は生活する高級
マンションや車などについて「欧州王室連合からあてがわれている」と王見被告に対して説明していたが、事業が実現する気配がないまま、
王見被告も支援金の一部を私的に流用し、12年からの3年間だけでも約4500万円を生活費やキャバクラなどの遊興費に使った。19年2月、
2人は詐欺容疑で福井県警に逮捕された。