>>452
1925年に「毒ガス等使用禁止に関するジュネーブ議定書」が成立したんだけど、
アメリカはこれを批准しなかった(1975年に批准)。
禁止されたのは使用だけで、研究開発も製造も所持も禁止されない
緩い条約だったけど、それでも批准しなかった。

この時にアメリカが批准しない理由として主張したのが、「毒ガスは人道的な兵器だから」
その根拠はアメリカが行った一次大戦に関する調査で、

一次大戦における通常兵器による死傷者中の死者は25.8%、廃疾率は25.4%
一次大戦における化学兵器による死傷者中の死者は2.0%、廃疾率は4.1%
※廃疾者=重度の負傷によって回復後も社会復帰に困難をきたす負傷者。
 身体欠損、失明など。

であり、毒ガスによる死傷者は死者の割合が少なく、廃疾率も低い。
すなわち、「毒ガスは人道的な兵器である」というもの。

ちなみにバーリで漏れたマスタードは、通常のマスタードと改良型の
ナイトロジェンマスタードがあったけど、アメリカがこれの開発に成功したのは1930年。
研究再開して即開発成功とはずいぶんと優秀だね。
ナイトロジェンマスタードは後に抗がん剤として使われる事になるから、医薬品として
語られる場合と毒ガスとして語られる場合とで差異が出るんだろうな。
物は同じなんだけど。


ソースは大部分「毒ガスと科学者(宮田親平 著 )」