米大学の対面授業再開、コロナ感染急増の引き金に=研究
By Melissa Korn and Brianna Abbott
2020 年 9 月 23 日 09:49 JST

 新型コロナウイルスに関する直近の研究によると、米国内の大学で
対面授業を再開したことが足元の感染者急増を招いたとみられることが分かった。

 今回の研究は、ノースカロライナ大学グリーンズボロー校、インディアナ大学、
ワシントン大学、デビッドソンカレッジの教授らが実施した。

 それによると、対面ではなく、オンライン授業を続けていれば、
1日当たり3200件の感染が防げた可能性が高いと推測されている。
これは予測の中央値で、1日当たり住民10万人のうち2.1件の割合に相当する。
予想レンジは1日当たり1100件〜5300件だった。

 研究結果は22日、プレプリント(査読前論文)の投稿サーバーである
「メドアーカイブ(medRxiv)」に掲載される予定。

 コロンビア大メールマン公衆衛生大学院の感染症予測モデル開発者、
セン・ペイ氏は、今回の研究は「よく設計されている」と評価している。
同氏は今回の研究には参加していない。

 研究では、大学の対面授業再開が周辺地域の感染者数にどう影響を及ぼすかを特定するため、
7月半ばから9月半ばにかけて、携帯電話の全地球測位システム(GPS)追跡データを使って
学生の流入など人の移動を調査。学生が大学に戻る前後で、周辺の郡の感染率を計測した。

 学生がキャンパス近郊に戻ったものの、オンライン授業を受けている地域では、
感染者の増加はほとんど見られなかった。感染者が最も急増したのは対面授業を再開した
大学の周辺で、特にコロナ流行地から学生が戻った地域で顕著だった。

 前出のペイ氏は「コロナ流行地から学生が戻った大学周辺で感染者が多く出ている
ということは、大学の感染防止策を策定する上で重要だ」と述べる。

 コロナ感染が拡大したことを受け、ノースカロライナ大学チャペルヒル校と
ノースカロライナ州立大学は、授業再開の数週間以内にネット授業に再び切り替え、
学生を自宅に戻した。ウィスコンシン大学マディソン校、コロラド大学ボルダー校、
アリゾナ大学は、ウイルス封じ込めに向けて少なくとも数週間は外出を控えるよう
学生に促すとともに、オンライン授業に切り替えた。

https://jp.wsj.com/articles/SB10383692148885514263604586648212725760884