超映画評
https://movie.maeda-y.com/movie/02277.htm
『ミッドウェイ』35点(100点満点中)
監督:ローランド・エメリッヒ 出演:エド・スクライン パトリック・ウィルソン ウディ・ハレルソン
≪完璧な炎上対策で、逆にけれん味がそがれた≫
(前略)
いうまでもなく、アメリカ人にとってのミッドウェー海戦とは、卑怯な真珠湾攻撃を行った日本軍に
天罰が下った史実としてとらえられている。どちらかといえば、やはりアメリカ人にとっては気持ちのいい
史実であるから、映画化企画も簡単に通るだろう……と思ったら大間違いで、この企画は資金集めの点で
難航をきわめた。
(中略)
そんなわけで『ミッドウェイ』には、彼らが期待(?)するような反日描写もトンデモ日本もない。
日本の配給会社であるキノフィルムズが炎上対策として慎重に日本語字幕を作ったのと、
映画自体もわずかな再編集を行ったことで、そうしたトンデモ感はほとんど消え去っている。
キノフィルムズの過剰なまでの炎上対策は、公式サイトの記述にも見て取れる。
(中略)
そんなわけで、普通の日本人としては余計な政治的対立を気にすることなく、豊川悦司の
山本五十六の意外なマッチぶりや、名将・山口多聞をやたらと持ち上げるエメリッヒ演出を、
いささか恥ずかしい思いをしつつ楽しむことができるだろう。
とくに山口多聞を演じる浅野忠信は、海戦アクション『バトルシップ』(12年、米)でも、いかにも日本人らしい
実直誠実なイージス艦長を演じており、そのイメージを存分に利用した配役となっている。
『ID4』でも感動シーンとして扱われていた、この監督が大好きな特攻の場面もちゃんとあるし、
オールCGで描かれた海戦シーンもそれなりに迫力がある。
もっとも、戦史マニアや、歴史的美談を期待する日本人にとっては、少々物足りないことは間違いない。
それは、ドイツ人監督がアメリカや中国や日本、全部に忖度しながら作った映画なのだから仕方がない。

ゲド戦記と同じ点数!!