鈴木 毎月徳間書店の児童書の編集の方から、宮崎(駿)と僕に児童書の
新刊を送っていただいているんですね。僕は不真面目で全然読まないんだけれど、
宮崎駿というのはすごい人で、それの全部に目を通すんです。
で、4〜5年前かな? 「鈴木さん、これ読んだ?」って「アーヤと魔女」を出してきた。
「読んでないですけど」って言うと「絶対おもしろいから!」って言われたんです。
それで僕も読んでみたら、確かにおもしろい。
そう感想を伝えたら、宮さんは「これ、今の時代に合ってるよ」と。
その頃、宮さんは今動かしている『君たちはどう生きるか』という企画に手をつけ始めていたんですが、
「こっち(アーヤと魔女」)のほうがおもしろいかもしれない」って言い始めたわけです。
それである日、宮さんに「鈴木さん、どっちがいい?」って声をかけられた。
彼、いつも僕に聞いてくるんですよ。それで僕は「『君たちはどう生きるか』のほうが
いいんじゃないですか。『アーヤ』も確かにおもしろいけど、
宮さんには『君たちはどう生きるか』のほうが合ってると思いますよ」と。

――宮崎監督も「アーヤ」をアニメ化したいという思いを抱えていたんですね。

鈴木 それである時、宮さんが何を思ったのか、(宮崎)吾朗君を説得に行ったんです。
「これをやれ!」と。
ところが何故か、吾朗君がこの企画を「面白い」と思ってくれて、
結局『アーヤと魔女』をやることになった、それが経緯ですよ。