文在寅政権へ これ以上、日韓関係を悪化させて何が面白い
西日本新聞 1/16(土) 11:16配信

いわゆる日本軍慰安婦の実態については近年、韓国でも客観的な研究が進んでいる。
例えば、古書店に埋もれていた朝鮮人慰安所経営者の日記(1次史料)からは、週末の映画観賞など日常生活の一端が読み取れる。

そうした中、日本政府に韓国人元慰安婦への損害賠償を初めて命じる判決を8日、ソウル中央地裁が下した。
国家は他国の裁判権に服さない「主権免除」という国際ルールに反した判決は、韓国内でも物議を醸しているという。

私が特に「おや」と思ったのは、判決文に「事実認定」と呼ばれる最も基礎的な部分が見当たらないことだ。
原告12人のハルモニ(おばあさん)がいつ、どこで、誰に、どのように慰安婦にされたのか。日本政府からどんな損害を被ったのか−である。

裁判所は、判決全文ではなく、内容を要約した要旨を公表した。 その冒頭に、強いて言うなら事実認定に当たる部分を短く、原告側の請求内容として記している。
<原告らは日本帝国に誘拐や強制移動させられ、慰安所で暴力、拷問、性的暴行を受けた>

大雑把に過ぎる。 日本軍関係者を名乗る吉田清治氏(故人)による慰安婦狩り証言などが影響していると考えざるを得ない。
1980年代以降、日本の一部メディアが取り上げながら、事実無根であることが後に判明した証言だ。

もし細かい事実認定をしているのなら堂々と公表すればよい。日韓の歴史認識を巡っては、これまで多くの場合、ファクト(事実)は、ないがしろにされてきた。

判決後には、不可解なことが起きた。5日後に予定された同趣旨の訴訟の判決言い渡しが突然、延期された。 
韓国紙は、主権免除を認めなかった判決が米国などでも報じられたことに慌てたのではないか、との見方を伝えた。(続く)