[記者手帳]韓国の福島原発汚染水への対応と大統領の言葉、外相の苦悩 (ハンギョレ 4/21)

福島第一原発の汚染水を希釈し海に流すという日本政府の13日の決定が出た後、韓国社会はもう一度大騒ぎになった。

実際の放出は2年後に行われるというが、被害を懸念する漁業従事者のため息は深く、中国などの周辺国と協力し日本の無責任な決定を阻止しなければ
ならないという声が響きわたる。
(中略)
この巨大な反発の流れに大きな影響を与えたのは、おそらく14日に公開された文在寅大統領の発言だったであろう。
文大統領はこの日、信任状を提出しに大統領府を訪問した相星孝一・駐韓日本大使に「地理的に最も近く海を共有する韓国の懸念は極めて大きい」と述べ、
それに先立つ大統領府内部の会議では、関係省庁に対し「国際海洋法裁判所に、日本の原発汚染水の海洋放出の決定に対し、暫定措置と合わせ提訴する
案を積極的に検討」するよう指示した。

外交政策的にみる場合、文大統領のこの日の二つの発言の間には深淵のような隔たりがある。
汚染水放出という無責任な決定を下した隣国に「強い遺憾」の意は幾らでも示す事はできるが、その国家の決定をひっくり返すために国際海洋法裁判所などに
提訴を「積極的に検討」すれば、外交的な対立は避けられなくなる。

日本は韓国の遺憾表明は受け入れるだろうが、自分たちの国家の意志を打ち破ろうとする“国際法的な試み”には激しく応戦するに違いない。
さらに日本は現在、国際原子力機関(IAEA)と米国という巨大な友軍を確保している状態だ。
韓国より図体が大きい日本を相手に戦うには、有利な戦場を選ばなければならない。勝算が高くはない戦いに乗りだすには慎重でなければならない。
GSOMIAの中断を派手に叫んでからわずか3カ月で取りやめ、国民を失望させたのはほんの2年前だ。

そのような判断のためだったのだろうか。
チョン・ウィヨン外交部長官は19日の対政府質問で、十分な科学的根拠を提示するなど韓国政府が日本に要求する三つの条件が満たされ、汚染水放出が
「IAEAの基準に合う適合性手続きに従って行われるなら、あえて反対することはない」と述べた。
多くの複雑な条件を付けたが、「あえて反対することはない」とし、日本の放出を容認する態度を示したのだ。(続く)