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そして1768年の最初の大航海でキャプテン・クックはザゥアークラウトやニンジンジャムや濃縮オレンジ果汁などのビタミンCが豊富な
航海用の保存食をエンデバー号に搭載し、それらを乗組員に食べさせる事で壊血病の被害を激減させました。

しかし当時はまだビタミンCの効用どころか存在すら知られておらず、クックが持ち込んだ食品の内どれが本当に効果的だったのかも
判らなかった為に英国海軍本部はクックの報告書を黙殺。

その前にも医療実験で壊血病患者にオレンジ果汁やリンゴ果汁及びその他の薬剤を投与する比較実験を実施した際にも、果汁を
与えられた患者は速やかに回復したのに対し、その他の治療法は全く効果なしと言う明快な結果が導かれていました。

しかしそれでも海軍本部の腰は重く、ようやく壊血病予防にはオレンジやレモンが効果的と認めたのは1790年代に入ってからでした。

そしてレモンの採用が決定した後、英国海軍本部は地中海産のレモンよりも西インド諸島産のライムの方が安価だったために
「どちらも同じ柑橘類だから同じ効果があるだろう」と見なしてライムに切り替えました。

もっとも当時は判らなかった事ですが、実はレモンよりもライムのビタミンC含有量は少なく(1/2から1/3)、長期航海ではライムだけでは
ビタミンCが不足し壊血病患者が出る事もありました。