艦艇の建造予算、陸自が初の要求 対中強化
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> 陸上自衛隊が、艦艇の建造費を来年度の当初予算に盛り込むよう防衛省に求めたことがわかった。海自以外の「予算枠」による艦艇の導入は初。既存の陸、海、空の枠をこえる異例の予算措置だ。南西諸島の防衛の充実を急がざるをえないほど、中国軍の活動が活発化していると判断した。
 政府関係者が取材に明らかにした。防衛省は月内にもまとめる概算要求に、「陸自枠」の予算として計上する方針だ。

 具体的には、車両や戦車などを運ぶことができる輸送艦艇を購入する方針で、陸上部隊を離島へ機動的に展開させる役割を担う。大きさは1800トンの中型級(約60億円)と、420トンの小型級(約40億円)を念頭に詰めている。導入後の運用は、陸自だけでなく、船の知見をもつ海上自衛官も含めた統合の「海上輸送部隊」を新設し、担わせる方向だ。

 背景には軍事力を急速に強める中国の存在がある。東シナ海や南シナ海での強引な勢力拡大が続く中、政府は近年、南西諸島の防衛を強化すべく、自衛隊の「空白地」だった島々に陸自の部隊を新設してきた。
 島から島へ部隊を機動的に動かしたり、別の地域から増派したりするための輸送手段がなければ島嶼(とうしょ)部の防衛力は機能しにくい。そのため輸送手段の確保は急務とされ、今回の異例の予算措置につながった。政府関係者は「安全保障環境が厳しさを増していることを象徴する出来事だ」と話す。