「安いニッポン」の本当の恐ろしさとは何か 「貧しくなること」ではない
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2106/30/news055_3.html

海外に目を移せば、賃金が上がって経済もどんどん成長している。

このような内外格差が激しくなると、どういうことが起きるのかというと、「出稼ぎ日本人」が増える。
つまり、賃金の低い自国に見切りをつけて、待遇のいい国へと渡っていくのだ。

「脱出」する日本人

それを裏付けるデータもある。
2019年10月1日現在の推計で、在留邦人総数は141万356人。
前年より1万9986人増えて、この統計を開始した1968年(昭和43年)以降最多となっているのだ。

では、これから「安いニッポン」に見切りをつける人々はどこへ向かうのかというと、やはり「本命視」されているのは経済成長著しい中国だ。
一橋大学名誉教授の経済学者・野口悠紀雄氏は「20年後には日本人が中国に出稼ぎする」(毎日新聞 20年1月4日)と未来を予見する。
実際、今回の日経の「安いニッポン」の中でも、以下のような「中国への出稼ぎ日本人」が登場する。

『「月給9万円」低賃金放置 アニメ産業、中国に人材流出』(6月24日)

ご存じのように、日本のアニメは世界的に評価も高いが、
それを制作しているアニメーターの賃金は常軌を逸した低賃金だ。

日本アニメーター・演出協会の調査では、年収が400万円以下が54.7%にのぼり、中小零細の若手となれば月給9万円もザラだという。
そんな低賃金・重労働に嫌気がさして、作品の質も上がるなど成長著しい中国のアニメ市場へ人材が続々と流出しているというのだ。