陸奥での真珠湾攻撃図上演習の後、山口少将は、長官室にいる南雲中将のところに押しかけた。

 「二航戦の飛行機を、五航戦に移すだって!」。かねて憂いていたことが、表面化したので、熱血漢の山口多聞は興奮し、逆上に近い状態になった。

 山口少将は、いきなり、南雲中将の胸部を両掌でつかむと言った。「南雲、貴様、この二航戦をおいてけぼりにしようというのか」。興奮すると山口少将は上官も部下もなかった。