米国の抑止力弱まる ロシア、ウクライナ巡り強硬
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN083660Y1A201C2000000/

緊迫するウクライナ情勢を巡る米ロ首脳による7日の協議は平行線に終わった。
バイデン米大統領は緊張緩和を促したが、プーチン大統領は譲歩しなかった。

米国は国際問題への関与に慎重になっており、ロシアだけでなく、中国もこうした事情を見透かしている。
ウクライナ問題の行方次第では米国の抑止力が一段と低下しかねない。

(中略)

ロシアはウクライナと後ろ盾の米国に軍事圧力をかけ、自らが提示する条件をのませようと狙う。
その中には北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大の停止、ロシア国境近くに攻撃兵器を配備・供給しないことを含む。

(中略)

ロシアが強気に出る背景にあるのが米国の抑止力低下だ。
14年のクリミア併合を巡る日米欧による経済制裁はロシアを追い詰めるに至っていない。

バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は
「米国は世界の警察官ではない」と宣言し、ロシアへの軍事力行使には踏み切らなかった。

今回も、仮にロシアがウクライナに侵攻しても米軍が軍事介入するとの見方は少ない。
米国がウクライナ情勢で対応が後手に回れば、世界の安全保障にも影を落とすのは間違いない。

実際、14年にロシアがクリミアを併合して以降、
中国は南シナ海や東シナ海で現状変更を試みる挑発行為を加速した。

20年には香港国家安全維持法の制定を強行して香港の高度な自治を保障する「一国二制度」が崩れた。
台湾にも軍事威嚇を続ける。