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「藩閥どころか現政府そのものが解体の危機に瀕している」という共通の危機感を煽り、大隈派という共通の敵を作る事で伊藤が対立していた薩摩閥や中立派の取り込みを進めていた頃、
大隈の腹心である小野梓は政府内から薩長閥を切り崩そうと払下げ中止の建言書の提出、開拓史への会計検査官派遣などの提言を行い、
他の検査官達と共に辞職を賭けた払下げ中止の建議を計画するなどしていた。
九月二十九日には集めた情報を小野義真に持たせて大隈に送っているが、その際警告の手紙を大隈宛てに書いている。
「閣下(大隈)と伊藤を離間させようとしている勢力がいるようです。伊藤は優柔不断なので決断しないでしょうがその周囲の動きにお気を付け下さい」
この文面だけでも自分の警戒心と行動を相手側に一切察知させていない伊藤という人間の恐ろしさが伺えるであろう。
そして大隈は伊藤の真意と水面下での彼の行動を知る事無く十月を迎える。