ミサイル防衛裏かく南極経由も 中国の極超音速兵器
https://www.sankei.com/article/20220102-4BNMZ25ULJIPBJJ6MUSSKR7Z3Y/

中国が低周回軌道を使った極超音速兵器を標的近くに着弾させたことは、
日本に対する米軍の拡大抑止の信用性を傷つけかねない意味を持つ。

当初報道されたように標的から約40キロ離れた地点に着弾したのであれば核兵器を搭載しても標的を破壊できない可能性があるが、
精密誘導が可能であればピンポイントで「核の脅し」を行うことができ、通常兵器としても運用できることになる。

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」が昨年11月17日に発表した報告書によると、
中国は大陸間弾道ミサイル(ICBM)のサイロ(地下格納庫)を270カ所以上建設。

2030年までに地上発射型の戦略ミサイル数が米国と「対等」になる可能性があるとした。

ただ、ICBMは弧を描きながら飛来する。
複雑な軌道を描く極超音速兵器と比べて軌道の予測可能性が高く、ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃は容易となる。

中国が昨年8月に実施した実験では低周回軌道を回った後に攻撃を行う「部分軌道爆撃システム(FOBS)」を試験したとされる。
配備済みとされる極超音速ミサイル「東風(DF)17」の射程約2500キロでは及ばない地点に届くほか、
北極圏経由で飛来するミサイルを想定した米本土のMDの裏をかき、南極経由で攻撃できる。

しかし、FOBSを活用した極超音速兵器は当初、射程から約40キロも離れた地点に着弾したと報じられた。
発射したミサイルの半数が着弾する範囲を指す「半数必中界(CEP)」が100〜500メートルとされる中国のICBMに見劣りすることになる。

日米両政府の分析結果は、こうした見方を覆す形となる。