私が恐れていた事態が現実化しつつあります。このままでは、ウクライナ西部は電力供給不足に直面する可能性があります。
・ウクライナは恒常的にハンガリーなどに電力融通を行っていますが、今後これは減少する可能性があります。
・また、ウクライナは2月24日にロシア・ベラルーシ系統から切り離され、単独運用をしております。系統規模が小さいことから、周波数が変動しやすくなっています。
・ロシア軍の攻撃により、今後発電所や変電所トリップが発生した場合、周波数が大幅に変動し、全土ブラックアウトに直面する可能性があります。
・このため、早期に欧州ENTSO-Eとの系統同期が必要です。
・また、この状態で停戦したとしても、ウクライナは電源立地としての収入源を喪う可能性があります。停戦後のウクライナへの経済支援が肝要だと考えます。

電力面からだけ論じるのであれば、ロシア軍によるポーランド占領は、西欧に対して強烈な一撃となる可能性が極めて高い。西欧の生殺与奪権を握ることができる
。軍事侵攻は意味が分からないが、エネルギーを武器にした戦略は極めて精緻で、ロシアの国益に叶う中長期戦略に基づいていると思う
ロシアの資源国の地位は、脱炭素の潮流によって相対的に低下していく。ロシアは2019年、20年と資源価格の低下に苦しんだ。
一方で、西側のジレンマは原発建設が遅々として進まず、国民コンセンサスも醸成しにくいこと。必ず安定供給とのコンフリクトが発生する。
ロシアとしては原発立地であり、西側への電力融通の基礎となる 重要なインフラである750kV送電線が整っているウクライナを抑え、
中長期的には西側に電力融通することで、資源輸出の収益低下をカバーしようと考えるのではないだろうか。
ロシアは既に天然ガス市場の市場操作の味はしめている。次は電力市場なのではなかろうか。
今日も運転中の関西電力御坊発電所。石油火力がこの時期に動くなんて。LNG価格高騰をよく表している事象だと思う。