3月7日付のThe Times紙は、ロシア連邦保安局(FSB)の内部告発者が書いた「ロシア兵の死者の数は1万人を超えたかもしれない」という記事を報じた。以下は、当該レターの要点である。
1. FSBに対して、より政府高官の要求に沿った報告書を作成するよう求める声が高まっている。
2. FSBはウクライナ侵攻を知らされておらず、制裁の準備もできていない。
3.そもそも、誰がウクライナに対する電撃戦を始めたのかも不明である。
4.ウクライナの脱ナチス化・脱軍事化を達成するための基準が曖昧であり、分析ができない。
5.ウクライナの侵略責任を問うため、対外情報部は現在、ウクライナの核兵器開発の証拠を改竄している。
6. カディロフは大統領暗殺のために送り込んだ特殊部隊が殺害され、激怒してロシアと対峙した。
7.キエフ奪取の電撃作戦は失敗し、最小限の犠牲と抵抗でウクライナを占領する計画は消滅した。
8. 仮に軍事力を行使したとしても、4000万人のウクライナ人を支配するために50万人以上の軍隊が必要だったはずだ。
9.そのような部隊は予備役が必要であり、国内の状況や物流の問題から不可能である。
10. ロシア軍の正確な損失は誰も知らない。
11. 侵略の最初の2日間だけは統制がとれていたが、今はどうなったか誰もわからない。
12.ロシア軍の死者は数千人、1万人以上になる可能性がある。
13.ウクライナのロシア憎しはチェチェン憎しのレベルであり、抵抗は大統領の死で終わらない。
14. 捕獲された20都市のうち、奪取に成功したのは1都市だけです。
15. ロシアのレッドラインは6月であり、それまでに解決しなければ経済が崩壊する。
16. ロシアの戦略は逃げ道がなく、勝つためのオプションもないので、戦いに負けたら終わりです。
FSB将校の告発が本当なら、プーチン大統領も軍もウクライナ侵攻をコントロールしていない、キエフを奪う保険的電撃作戦(プランB)もない、「戦いに負ければロシアは終わる」から前進し続けるだけだ、ということになる。国を占領して支配する軍隊もない。つまり、この無謀な行動からどう抜け出すかを誰も考えていない。