>>901
>鈍重なミサイルキャリアが廃れた理由

もとの話を知らないので一般論になるが。

核爆弾が重く大きかった頃は、大型爆撃機でなければこれを運べなかった。
積み荷が原爆だから、爆撃機を確実に始末したい、というときに、大口径あるいは多くの機関砲を、もっと弾頭の大きいロケット弾を、誘導できるミサイルを、より遠くから探して撃つためのレーダー誘導ミサイルを、と装備が大型化大重量化する一方で、爆撃機の運動性は大したことがないし、航続距離の短い戦闘機が爆撃機の護衛をすることもない。
戦闘機を相手にすることを前提とした運動性を切り下げることができれば、燃料搭載量を増やしたり翼面積を大きくしたり、いっそ直線翼を入れたりして滞空時間を伸ばすことで、会敵確率を上げる…予想される爆撃機の進路で通せんぼすることもできる。
ここらへんの発想で作られたのがF-89とかF-94とかの防空戦闘機になるわけだが、NORADができてカナダにもレーダー網を作って早期警戒ができるようになると、レーダーで見つけてからコンピュータで…SAGEでナイキの射撃を指揮したりF-102やF-106といった超音速戦闘機を差し向けたりできるようになり、さらにはICBMの実用化で核を積んだ爆撃機の脅威の比重が下がる。
レーダー誘導ミサイルのための重いあれこれも技術が進歩すると戦闘機の一般的な装備となり、長いロイター時間も空中給油で賄えるとなると、アメリカ本土防空のための特殊な設計の亜音速戦闘機の必要性そのものがなくなった。

海軍のミサイリアーの場合、発想は似通っていたものの、空軍の本土防空と違って「艦載機が攻撃できるほど陸に近づくのであれば、敵の陸上機もまた空母機動部隊を攻撃できる」わけで、それだけ近づいた場合、敵の空母攻撃部隊には護衛戦闘機が付いており、ミサイルを撃ち尽くしたあとは一切、防御手段が無いミサイリアーは簡単に撃墜されてしまうという危惧はあった。あったのだが。
ミサイルの射程が260キロを予定しているのに搭載レーダーの探知距離が爆撃機サイズでも190キロであるとか、支援にあたるAEWのレーダーの探知距離も現在のホークアイの半径560キロと違って320キロであるとか、コンセプトを実現するための技術がいつ出来上がるかわからないなどの理由でキャンセルされているので、鈍重云々以前の問題と言える。