実際、ここへきて、ロシア軍は続々と“新兵器”を使い始めている。19、20日には極超音速ミサイルでウクライナの軍事施設を攻撃した。

「ロシア軍は新たな兵器を“試し撃ち”しているのではないか」と言うのは、首都キエフで取材するジャーナリストの田中龍作氏だ。こう続ける。

「爆風」だけで壁崩落
「18日、中心地から7キロほど離れた住宅街がロシア軍に砲撃されたのですが、6棟あるアパートの全世帯の窓ガラスが粉々に砕け、一部の壁は崩落していました。着弾点は建物でなく地面で、直径3〜4メートル、深さ2メートル程度の穴ができていた。建物に直接当たることなく『爆風』だけでこれだけの被害を及ぼすとは驚きです。強力な新型爆弾を使ったのではないか。現場を見たウクライナ軍も衝撃を受けている様子でした」

 さらに、21日に8人の死者を出したキエフ市内のショッピングセンターでの爆撃は、「これまでとは比較にならないほどの威力だった」(田中氏)という。

「現場は300〜400メートル四方にわたって建物が崩壊していました。付近のスポーツセンターはペシャンコ、アパートは柱だけ残して壁が吹き飛んでいた。300メートル離れたアパートの住民は『建物が地震のように揺れた』と言っていました。ロシア側が公開した映像によると、爆撃はたった1発だけですから、凄まじい威力です。新たな兵器を使用したとしか思えません」

 “試し撃ち”を繰り返すのは、化学兵器使用への地ならしか。国際人道法が使用を禁じているが、もはやプーチン氏に“常識”は通用しない。