クレムリンの執務室でうたた寝して朝を迎えたプーチン
キエフ攻撃が大失敗、勢いもなく惨敗だった
ネット上にに響く国民のため息、どこからか聞こえる「プーチンは耄碌したな」の声
無言で帰国する兵士の遺体で溢れるなかで プーチンは独り執務室で泣いていた。
かつてチェチェン、グルジア、クリミアで手にした勝利の栄冠、喜び、感動
それを今のウクライナ戦争で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」プーチンは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、プーチンははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいソファーの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、参謀とミーティングをしなくちゃな」プーチンは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、内川はふと気付いた

「あれ・・・大勢の国民がいる・・・?」
ベランダの窓からプーチンが目にしたのは、埋めつくさんばかりの国民だった
千切れそうなほどに国旗が振られ、地鳴りのようにプーチンの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするプーチンの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「プーチン、柔道の練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったプーチンは目を疑った
「エ・・・エリツィン?」 「なんだ、居眠りでもしてたのか?」
「ゴルバチョフ・・・?」 「なんだプーチン、かってにゴルバチョフを引退させやがって」
「ジリノフスキー・・・」  プーチンは半分パニックになりながら机の上のウクライナの地図を見上げた

キエフもハリコフもマリウポリもオデッサもチェルノブイリも、ロシアの占領下になっているではないか!


暫時、唖然としていたプーチンだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
メジンスキーから上着を受け取り、会議室へ全力疾走するプーチン、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、執務室で冷たくなっているプーチンが発見され、トランプは病院内で静かに息を引き取った