臨時の指揮統制下で戦闘に投入した。これはロシア戦力の低下を招いたのみでなく、
手つかずの旅団/連隊が存在しなくなるという結果も招いた。
今後、ロシアが完全戦力の旅団/連隊をつくり上げるのに、数年は要するだろう。

加えて、4月の徴兵で新たな徴集兵が入隊したことも、ロシア戦力評価について誤解を招きやすい。
新たな人員が投入可能になるには、最も早い場合で今年の晩夏か秋頃になる。
それより早く投入した場合、戦力というよりただの銃弾の餌食になってしまうだろう。

なお、上述のISWの評価査定と同様の見解をウクライナ政府及び軍も持っていることは、
ウクライナ側の公式見解から確認可能である。

さて、ロシア側は問題改善の一環として、東部軍管区司令官ドボルニコフ大将に全体指揮を任せることにした。
しかし、攻勢軸の中心が西部軍管区担当範囲であることなどを考えると、
この措置でロシアの指揮統制問題が解決するかどうかは疑問である。

各戦区の情勢
マリウポリ。ロシアの攻勢が続くが、成果はない。
ドンバス。過去24時間、ルビジュネ・ポパスナ・セベロドネツクへロシアは攻撃を集中させているが、
重要な地域獲得はできなかった。

ハルキウ〜イジューム。ロシアはハルキウ周辺に戦力を集結中。
イジュームからスロビャンシク方面への攻勢の準備と考えられる。
また、電波妨害機器も持ち込み、部隊移動を把握されないように努めている。

8日のイジュームからの攻撃は限定的で、進捗はほとんどないという見解をウクライナ参謀本部が示す。

ヘルソン等、南部。過去24時間、目立った動きはない。