一方、ロシア軍はドネツク州の未占領地域を支配するための努力において
、極めて限定的な前進を続けている。ロシア軍は数週間にわたって2月24日以前の接触線に侵入するのに苦労しており、
イジュムから南へのロシア軍の攻撃作戦はほとんど停滞したままである。
セベロドネツクの奪取がドネツク州の他の地域の征服に役立つのは、ロシア軍に連続した作戦を展開する勢いを与える場合だけだが、
セベロドネツクの戦いによって、ロシア軍の大規模な攻撃作戦が継続できなくなる可能性は高いだろう。

セベルドネツク周辺でのロシアの前進は、モスクワが他のすべての軸から集めた兵力、
装備、資材をこの一つの目標に集中させたことが大きな要因である。
ロシア軍は数週間にわたって他の軸で前進することができず、その試みもほとんどしていない。
ウクライナの守備隊は、それでもセベロドネツク周辺でロシアの攻撃隊に恐るべき犠牲者を出している。
モスクワはセヴェルドネツクを奪取しても、大量の有効な戦闘力を回収することはできない。
なぜなら、その戦闘力を都市奪取に軽々しく費やしているからだ。

セベロドネツクの戦いでは、ウクライナ軍も深刻な損失を被っており、ウクライナの民間人やインフラも同様である。
しかし、ロシア軍はセベロドネツク攻略に、ウクライナ軍よりはるかに高い攻撃力を集中させており、
消耗度合は概してキエフに有利に作用している。ウクライナ側は同盟国から物資の供給を受け続けているが、
その流れは緩慢で限定的である。これに対し、ロシア側は、使える人員と物資を使い果たし、
今後数カ月間に救援を期待する理由がないことが明らかな兆候を示し続けている。

ロシア軍将校の軍事的専門性が損なわれている証拠も増えている。ウクライナ軍事情報局(GUR)は、
ロシア軍司令官が運転手に負傷兵の避難や前進しすぎた部隊への物資提供を禁じ、
軍備を保全しようとしていると報告した[1]。 戦場で負傷兵を避難させるために装備を危険にさらすことを、
特別な状況を除いて拒むことは、軍事的専門性の基本原則に著しく違反するものであり、
ロシア軍司令官は軍備を保全するために、運転手に負傷兵の避難を禁じ、
前進しすぎた部隊に物資提供を禁じ、ロシア軍司令官は軍備を保全しようとしている[2]。