“ウクライナ戦況に関する戦争研究所(ISW)の評価(5/31)について”
https://twitter.com/GdPanzergraf/status/1531843364336771073
本日(5/31)の評価報告で「ウクライナがセベロドネツク死守を選択しなかったこと」について、
ISWは高い評価を与えていますが、その点について、少し解説してみたいと思います。

まず、セベロドネツクの意味ですが、ロシア軍にとっては、少なくともルハンシク州の占領という
政治目標を考えると、重要地点になりますが、ウクライナ側にとっての軍事的な重要度はそれほど高くありません。

そのような地域に、仮にウクライナ側が多くの戦力を投入する場合を考えてみましょう。
セベロドネツク周辺地域では、現状、ロシア軍が戦術的優勢を保っているとみなされています。
ウクライナがその主力を投入したにも関わらず、ロシア軍が優勢に戦闘を進めると、
たとえば下図(ISW地図、一部加工)のような形でウクライナ軍主力が包囲される可能性があります。つまり、

https://pbs.twimg.com/media/FUIzbcLUUAAj5yj?format=jpg&name=large
軍事的重要度の低い地域で、主力軍が壊滅するという悲劇を招く可能性が生じるということです。

このような形でウクライナ軍の戦力が奪われてしまった場合、今後ウクライナは反撃どころか
効果的な防衛も困難になるでしょう。ゆえに、政治的には注目されても
軍事的重要度が低いセベロドネツクから撤退して戦力を保つことが、苦渋の決断ではあるとはいえ、
ウクライナにとって重要になってくるのです。

一般的に土地を失うことは敗北とみなされがちですが、戦争においては、土地よりも“軍隊そのもの”を失うほうが致命的です
失われた土地は取り戻せますが、失われた軍隊は、その装備だけでなく経験を積んだ将兵も含めて、
すぐに取り戻すことはできません。そして、軍隊が残っていれば、
今後、決定的な反撃を行うチャンスもまた残ることになるのです。
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